THE GREENMAN FESTIVAL(グリーンマン・フェス) 音楽編

[The Greenman Festival]

場所は、ウェールズの首都から少し北へ車を走らせた、
おとぎ話に出てきそうな山々を越えてようやくたどり着く
Brecon Beaconsという所。
普段はハンティングとフィッシング場になるほど大きな自然に
囲まれた敷地でGreenman Festivalは開催される。

これは、年に一度、UKで行われるもっとも大規模な
フォークの音楽祭だ。出演者もこれでもかと
言わんばかりの大物ぞろい。
このフェスをネットで見つけたときには、画面の前でイスごと軽く飛び上がった。

ワクワクする気持ちに身を任せた3日間のフォーク漬け生活は、
本当に心に残る思い出だった。
雨降りもまた良し。


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初日の、オオトリ、大目玉は現代の吟遊詩人SMOG(スモッグ)こと
BILL CALLAHAN(ビル・キャラハン)と、未来へ向かうハープ歌姫
JOANNA NEWSOM(ジョアンナ・ニューサム)。
ビルは今回バンド編成での演奏だったが、
いつもより動きのあるエキサイティング内容だった。
彼には珍しく(?)気分の乗ってるパフォーマンスで、
一曲一曲バラエティーも富んでいて、
音楽家としての彼のパワーをひしひしと感じた。
相変わらず盛り下げるMCも、今回はなぜか逆効果で盛り上がっていた。
ビルからジョアンナへという、すでにおなじみの
タイムテーブルに乗って、いよいよジョアンナ姫の登場。

もはや揺るぎない人気で、野外メインステージは人だかり。
でかいハープが用意され、ジョアンナ楽団が周りを囲む。
今回は女性のフィドラーも参加していた。
いよいよジョアンナが登場。

相変わらず彼女しか似合わない、
でもオシャレな服装で観客も大いに沸く。
だって、民族的な洋服の下に超ミニのショートパンツという
スタイルなんだもの。それであのルックス。
彼女はセルフプロデュースが完全にコントロールできていて、
そこがいい。
曲は、ほぼ新しいミニアルバムとYsからの演奏。
あんな難しくて展開の複雑な曲たちを、
よくもまあ完全に自分のものにできてらっしゃる。
しかも、がんばって弾いてます的な、
技術に頼るようなことを一切しないところが、
彼女の持っている芸術家性を感じさせてくれる。
こういったフォークイベントで、演奏に偏って作家性が
あまり見えないアーティストが多いのもまた事実。
ただ、女性フィドラーの音が、明らかにクラシック育ち感を
醸し出していて、お行儀の良すぎるフィドルになって
しまっていたのが僕には合わなかった。
ジョアンナの世界観にはもう少し崩れたフィドルか
現代音楽の素養のあるような演奏家が似合うのではないだろうか。

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いくつもあるステージのひとつ”Folkey Dokey stage”。
メインステージと音がかぶらないようにテントの中で行われる。テントがデカイ。

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入り口。ここで、手に巻きつけたチケットをスタッフに見せて出入りする。

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古い建物がところどころにあって、ブリティッシュフォーキーな雰囲気を演出している。

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フォークだけじゃなく、踊りたい人のために、大きなテントの中でビートの強い音楽が
流れるクラブスペースも用意。
ここは夜の2時まで。

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メインステージの後ろは緩やかな坂になっていてその上からステージを一望できる。
ここから遠くの山々を眺めると、こんな素晴らしい場所で
一日中音楽と戯れていられる環境に泣けてくる。

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myspaceで交流のあったWoodcraft Folk(ウッドクラフト・フォーク)というイギリスのアーティストが、偶然にもこのフェスで出演。
巨大スクリーンに映像を流しながらそれに合わせて演奏するというスタイル。
こういった演出の場合、映像の良し悪しに雰囲気が強く
影響されるが、ウッドクラフトの選んだ映像はとても面白かった。
ヤン・シュヴァンクマイエルの(作品名は忘れてしまったが)
ドクロで出来た教会をひたすら撮り続けるモノクロ作品や、
子ども教材のような絵に背景が綺麗なCGで、
グロテスクな内容というキッチュファンタジーなど視覚的に
飽きさせないものに、ウッドクラフトの前衛的なのにポップな
インスト曲がとてもマッチしていた。
寝っ転がりながら眺めてるとまるで意識のはっきりしながら
見る夢のような心地良さに包まれた。
彼らとは、お互いCDを交換し合ったり、
一緒にほかのアーティストを見たりして交流を楽しんだ。

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このフェスでの一番の収穫は、このNancy Elizabeth(ナンシー・エリザベス)を見つけられたことだ。
彼女は、小さいステージの横を通りがかった僕の耳を
すぐに惹きつけた。
ギター、アイリッシュハープ、太鼓、チェロという編成で、
この楽器の選び方もとても僕の心を掴んだのだけれど、
やはり彼女のフォーキーとしかいえない土臭くも美しい歌声と、
トラッドに根付きつつも現代的に解釈された曲調は、
紛れもなくホンモノを醸し出していた。
演奏が終わった後、どうしても彼女に会いたくて楽屋裏で、出待ち。
ナンシーは、話してみるととても素朴な明るい娘さんだった。
ちょっと田舎くさいところがまた、可愛らしい。
今時なジョアンナと正反対だな。
自分のCDを渡して、少し会話して
(彼女は日本が好きでいくつかの日本語を知っていた)バイバイ。
そのあと、売店でナンシー・エリザベスのCDを探してたら売り切れ。
ああ、人気あるんだ。


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そして、John Renbourn(ジョン・レンボーン)。始まる前からフォーキー・ドーキー・ステージは
ギュウギュウになっていた。僕のブリティッシュ・フォーク傾倒への道を開いてくれた人。
一生で彼の演奏が見れるなんて思っても見なかった。
彼の楽曲、立ち振る舞い、客を引き込む演奏すべてに
年季が入っていて、聴いている誰しもが彼にウットリしたはずだ。
アンコールが終わった後も、拍手は鳴り止まなかった。
隣の関係者らしき人が「ジョアンナは舞台の後ろで聴いてるんだ」
などと会話しているのが耳に入ってきた。
リラックスしてレンボーンのライブが聴けるジョアンナに少し嫉妬した。

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Oxfarm(オクスファム)という民間団体の協力も
このフェスを支える。スタッフはこの団体で集められた若い学生たちが多い。
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お腹が空いたら、うんまい出店へ駆け込む。ヨーロッパ中から集まったメニューは
現地人が作ってるだけあって味は本格的。
これはヨーロッパのフェスでしか味わえない。
スペイン人の作るパエリアは、雨によって少し冷えた夜に僕を暖めてくれた。

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別のテントでは、トークイベントが行われていた。ここで、Vashti Bunyan(ヴァシュティ・バニアン)!や
Shirley Collins(シャーリー・コリンズ)!!のイベントもあって、
伝説の人たちが自分の目の前で普通に喋ってるのが信じられなかった。

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このグリーンマン・フェスは、すべてにおいて素晴らしかった。
世の中にはたくさんのフェスがあって、
人それぞれがお気に入りのフェスがあるのだろうけど、
このフェスは、僕のフィーリングにピッタリとはまった。
オシャレで行儀の良い客。
実験的なサウンドや、コテコテのトラッドが入り混じった音楽性。
ファンタジックな立地に、しっかりとしたイベント体制。

見習いたい。
日本で、こんなフォーク・フェスを開きたい。
夢がまた一つ増えた。


ちなみに、紹介できなかったけど、すんばらしかったアーティスト達。
Devendra Banhart
Battles
Alela Diane
Soft Hearted Scientists
Thistletown
(彼らは、なんとロバの音楽座の代表曲”You are ロバさん”と同じ旋律の曲を演奏していた)
North Sea Radio Orchestra
などなど

Six Organs of AdmittanceやTunngなど別のステージと重なって
見れなかったアーティストもきっとすんばらしかったはず。

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